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世間を騒がすお尋ね者
自分のエキサイトブログのリンク先を拝見していると、世間で騒がれている「NEET」と「ひきこもり」についての投稿がありました。そこで私も個人的意見などつらつらと。


これらに関する記事や論調は新聞、週刊誌、ワイドショーなど、最近は枚挙にいとまがないくらい多く見ることができます。それだけ世間の注目の的、もしくは的とされている存在なのでしょう。ちなみに私は「NEET」にしても「ひきこもり」にしても否定はしていません。全てを肯定するわけでもないですが。ただ、特にマスコミを中心として形成されている論調は概ね否定的な意見であったり、本人の自助努力不足という点に集中しているように感じます。それについてもろ手を挙げて賛同はしかねるというのが私の考えです。



これらお尋ね者は「叩きの対象」として扱われることも多いです。最近は、教師によるいじめやセクハラ、上司から部下へのいびりなど弱者への攻撃が以前より顕著な社会になってきていると思いますが、これもその一例であるように感じることがあります。必ずしも怠けが原因でそういう社会的立場になった人だけではないということ。「NEET」や「ひきこもり」は駄目だ、駄目だ、ということばかりを国のお役所にしても世間的にも言われることですが、どうしてそうした立場になったのか?どうしてそのような立場は良くないのか?そこはもっと慎重に考えるべきでしょう。また、良くないのであれば原因を調査して本格的に対策を取ろうとしないのか?叩くのは簡単ですが、叩くだけでは何も生まれない。トラックバック先のkokepinkさん「日本の教育」という投稿には教育問題を中心に据えながら書いてありますが、そこに以下のような指摘がされています。
『与えられた課題をこなすことは優れていても、自ら課題を設定して解決法を探す力が、今の「マニュアル」教育では育たない。』
しかし、これは「NEET」「ひきこもり」の人以外にも実は言えるのではないかと思います。社会的立場が違うだけのことで。先ほど述べた叩くだけ、マスコミの意見にただ賛同するだけ、というのも考えてるようで実は考えていないのではないでしょうか。

そもそもイギリスが発祥とされる「NEET」という単語を日本に広めたのは、東京大学助教授の玄田有史氏であったと記憶していますが、彼の論点は「団塊の世代が多すぎて若者へのポストが無くなってしまっている。そうしてしかたなくNEETになる若者も多い」ということであったと思います。それは著書、『仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在」』でも書かれていますし、もっと詳しく知りたい方は論文を参照されれば良いと思います。しかし、一般のマスコミ関係でこの点を踏まえて論じる人はほとんど見たことがありません。たぶん、自分の立場上のことなどもあるから言えないのかもしれません。もしくはこういった視点が無いためか、知った上で否定している論者なのか。 玄田氏の意見が全て正しいというわけではないですが、考えなければいけない点でしょう。

アイデンティティー、つまり「同一性」、の欠落を指摘する人もいます。確立された自我、というニュアンスで扱われる言葉ですが、 そうした個人のアイデンティティーが確立できていないのが問題では?と。kokepinkさんも教育システムの点から触れておられますが、thunder01さん「NEETから見る日本経済 PartII」には次のような指摘がされています。
すべてがコンビニエントになってしまいました。その中で、次なる時代の労働のアイデンティティーを確立することが、幾分に困難になっているのは否定できないんじゃないのかと。そして、それをもう一度、社会的な立場で復興させるにはどうしたらよいのでしょうか?? そんな疑問がわいている今日この頃です。
個人のアイデンティティだけの問題ではなく、労働そのものアイデンティティの確立が困難な点があるのでは?という指摘ですが、実はこの点も非常に大きく関係していると思います。貧しかった時は明日の食料確保という点、それから戦後などであれば復興という点が非常に大きなインセンティブが働きましたが、それらがある程度達成されてしまった時に、仕事とは何ぞや?働くとは何ぞや?ということを考えてしまうようになったのでしょう。考えることができるようになった程日本が豊かになったということでしょうし、貧困化の国に生まれて明日をも知れない立場よりはまだまだ幸せな国だなぁと思ったりもしますが。そうした時に、これまでと同じような労働スタイルを否定する人が発生してきたということは、これまでの労働のスタイルが実は本当に正しかったのであろうか?という問題提起であったりもするのではないかと思います。勤労は素晴らしいことである、という意識がありますが、それは本当に正しいことなのか?仮に正しいとすれば、現在の勤労のスタイルは本当に正しいスタイルなのか?こうした点を考えてみる必要があります。ただ、社会システムがある程度確立されてしまっているために、こうした事に対処しきれていないのだと思います。そして、そのことを考える余裕もまた無かったり。考える努力をしなかったり。また、個人にしても労働にしても、アイデンティティーの確立が昔の同年代の若者に果たしてできていたのでしょうか?例えば就職の口が溢れていたバブル期に就職活動をした世代などは、本当に現代の若者と同じだけ就職ということ、仕事ということに対して意識が高かったのでしょうか?本当に同じ年齢の頃にはすでに確立できてしまっていて、そして今の仕事に就いたのでしょうか?仮に確立できていたとしても、さきほどの玄田氏の著作の点でも触れましたが受け皿が当時とは全然違うわけです。それらを全て無視して論じて、おかしな精神論などに発展してしまうようなことがあればそれは暴論であるとも言えます。

また、「NEET」や「ひきこもり」の状態はその本人にとっても辛いことなのではないでしょうか?epokheさん「ひきこもり批評 ~他者との関わりと1つの自我~」には次のような指摘があります。
自分自身に出会うためには自分だけでは駄目である。他と関わることによって自己を自覚する。いわゆる「心の病」と「他人との断絶」は並行関係にある。他人と断絶することによって、徐々に人格が崩壊していく。つまり、他人と関わらないで生きていくということは、自我が萎縮していくことを意味する。

勿論、他者との関わりには、妥協や馴れ合いや葛藤がつきもの。日本では、他者との対立が曖昧に避けられがちだが、時には対立も必要である。他者との摩擦や対立は切り抜けていかなくてはいけない。
他人との関わりによって新しいことを知り、自分を深めていくということはとても大切です。ただしどうも最近の傾向として、人と人の交流を排除する流れが強くなっているように感じます。それはバーチャルな交流で、ということでなく、人と人とのリアルな交流においてです。他人を受け入れず、自分の考えを押し付ける。そして、受け入れられないものについては、それは排除する。近年は強い個人が盛んに推奨されますが、「強さ」とは何なのでしょうか?それが「強さ」なのでしょうか?そうではないと思います。対立も必要、確かにそうですが、他人を排除しようとする対立であれば、それだけでは駄目でしょう。対立を切り抜く、というよりも、お互いにより良い方向へ向けて議論する。それが重要でしょう。「曖昧」ということは最近はとても問題視されることが多いです。白か黒なのか。しかし、世の中そんなに単純に区切れるものではありません。灰色の部分があるということを互いに自覚した上で、白と黒の立場から意見を述べてより良い灰色にしていく。そうした意味での対立、議論こそ必要でしょう。「NEET」「ひきこもり」の問題にしても、こうした姿勢はあるでしょうか?またはこうした問題があるからこそ、他人との交流に困難を感じてそうなってしまうこともあるのではないでしょうか。さらに、普通に多くの人がしていて、一般に普通と考えられる交流のスタイルは本当に良い人と人の交流のスタイルなのでしょうか?個人個人が考えてみる必要があります。


ここまで色々と考えて見ても、何か解決になるような具体的な提案をすることができないのが残念です。ただ「NEET」「ひきこもり」ということで真剣に悩み、さらには自殺や犯罪に走ってしまうことがあるとやるせない思いがします。何か少しでも貢献できればと思い、自分なりの視点を書いてみました。常識から考えれば反社会的な論調で、さらには理想論を述べただけのようにも思いますが、最近の風潮を見ていると色々と考えてしまうことが多いです。

長い文章となりましたが、自分への戒めも込めて寄稿。
by ippeitarou | 2004-12-11 16:05 | Column
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